
パークシティ南千里丘
2011
大阪府摂津市




「里庭八景」-街角からの街づくり
新駅「摂津市駅」に面する複合開発エリアの先行整備の一角を占める、敷地面積約1.5ha, 586戸からなる集合住宅の公開空地および中庭屋上庭園が対象である。「低炭素型社会の実現」がテーマのまちづくりに呼応した新たな風景づくりに際し、かつての千里丘陵一帯に広がっていた「里山」の風景をモチーフに、人々が日々の暮らしの中で豊かな緑や四季の移ろいを体感できる庭空間を「里庭」と名付け、それらをちりばめることで全体として魅力ある街区の風景を創出しようと試みた。「里庭八景」と名付けた8つの庭の概要は以下の通りである。
【花の森】グランドエントランスを包みこむ桜の庭。3種類の桜と幾何学的なアースワークを特徴とする。駅前に面した当住宅の顔。
【紅葉の森】コモンエントランスへ向かってモミジのトンネルを抜ける石畳のアプローチ庭。瀬戸内海産の大割石が風格と奥行き感を生む。
【遊びの森】起伏のある地形を持った街角の遊び場。ストーンサークルは、阪神間の工事で掘り出された本御影天然石を再利用するシステム「石の銀行」を活用したもの。
【雑木のみち】四季折々に多様な姿を見せる雑木林の小径。花の咲く木や実のなる木を取り入れて、季節感を演出しながら多様な小動物を呼び込む場所とする。
【水の庭】エントランスロビーに面した滝と水面のある庭。多様な水の表情や水音、風に揺れる枝葉やゆらめく光など、 自然の気配を映し出す鑑賞とくつろぎの庭。
【竹の庭】ラウンジから眺める竹と石による枯山水の庭。
【光のみち】竹林のライトアップが印象的な住棟をつなぐ通り庭。大割石はベンチとなり、多目的アリーナ利用者のための休息の場ともなる。
【空の里庭】立体駐車場の屋上を利用した住民専用広場。周辺への眺望を確保し、日照が確保できる場所には菜園を、日陰となる場所には人工芝の広場と遊具を設け、幅広い世代が触れ合うコモンガーデンとした。
掲載:日本造園学会造園作品選集2012No.11
ランドスケープデザイン2011年12月No.81
受賞:2011年 第5回おおさか優良緑化賞大阪府知事賞
2012年 第2回みどりのまちづくり賞(大阪ランドスケープ賞)ランドスケープデザイン部門大阪府知事賞
設計:鳳コンサルタント環境デザイン研究所
設計主任:吉武宗平(鳳コンサルタント環境デザイン研究所)