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嵐山荘

2014
京都府京都市

新和風モダニズムの庭

 京都の観光名所、嵐山に建つ企業の保養所のためのランドスケープである。施主からの要望として、この地ならではの趣きを持ちながらも、新しい施設に相応しいモダンで明るい和風の庭とすることが求められた。設計対象となる主な空間は、表庭、中庭、奥庭の3つの庭と、玄関アプローチ、駐車場である。これらの空間を嵐山の川の流れにちなんだ「水」をテーマとして表現している。施工には京都ならではの庭園技術が不可欠であり、設計段階から設計者と施工者が連携を図りながら仕事を進めた。
【アプローチ】門の下には大判鞍馬石と繊細で色鮮やかな霰こぼしを敷き、しっとりとした趣きの中にも華やかさを感じられる出迎えの場としている。門から玄関までは繊細なストライプパターンの床が建物内まで続き、来客を奥へと誘う。白ゴロタの波模様で水を表現し、水際を渡り歩くような印象を与える。
【駐車場】表通りから見られることを意識した庭空間として捉えた。伝統的な枯山水庭園に見られる砂紋(水の波紋の表現)や、京都の着物のストライプモダン・パターンをモチーフとした、白と黒の石による繊細緻密なパターンの床を構成している。庭の中に置かれた景石は車止めの機能を果たす。
【表庭】渡月橋から見える大堰川に小舟の浮かぶ風景をイメージした庭。水面に見立てた
白砂の中に、コケに覆われた舟形の島を浮かべた。表通りとの境界は石積みと竹穂垣による垣根として街並みとの調和を図っている。
【中庭】市松崩しの床パターンと竹の垂直な幹とが織りなす現代和風の庭。花崗岩の巨大な割石を組み合わせた壁は、断崖絶壁を流れ落ちる滝の抽象的表現である。滝の上に覗くモミジが秋には真っ赤に染まる。
【奥庭】嵐山の奥、保津峡の渓谷をモチーフとした庭。山奥から緑に包まれた岩場を抜けて下る流れを表現した。長尺割石の重なりで奥行き感を表現し、濃い緑を背景とした落葉樹の彩りが奥山の季節感を演出している。

掲載:日本造園学会ランドスケープ作品選集2016No.13

受賞:2019年 平成30年度 日本造園学会賞 技術部門:伝統技術を活用した敷石の「ユニット工法」による「あらたなあられこぼし」

設計:佐々木葉二+鳳コンサルタント環境デザイン研究所

​設計主任:吉武宗平(鳳コンサルタント環境デザイン研究所)

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